善光寺法話

第5回 お盆のお話

東京では7月ですが、全国的には8月にお盆をむかえます。善光寺のある長野では、迎え盆で、お墓や家の玄関先でかんば(白樺の皮)を焚き、「おじいさんおばあさんこの明かりでおいでおいで」と歌いながらご先祖さまをお迎えし、送り盆ではまたおなじようにかんばを焚いて、「おじいさんおばあさんこの明かりでおかえりおかえり」と、歌いながらお送りする風習があります。各地方それぞれに独特な風習があるのでしょうが、それぞれに風情があり、お盆独特の雰囲気を醸し出していることでしょう。

さて、「お盆」とはどのようなものだと考えられているのでしょう。ご先祖さまをあの世からこの世にお迎えし、共に過ごす期間、という認識が一般的なのではないでしょうか。いわゆる先祖供養の風習です。しかし、本当にそれだけなのでしょうか。生まれ育った故郷、または、おじいさんおばあさんの家に集い、一緒にお墓参りをし、お盆の食卓を囲みながら、「今年も元気でよかった」と、互いの無事を喜びながら久しぶりに団らんの場を持つ。その時、お盆は単にご先祖さまの菩提を弔うだけではなく、今年も皆無事に過ごさせていただいたという、今を生きる私たちの命への感謝の時ともなるのではないでしょうか。

私たちは必ず親から命をいただきます。親もまた、その親から命をいただきます。「私」一人の命は1つだけかもしれません。しかし、その1つの命がこの世に生まれるために、無数の命が存在していたのです。そして、そのいただいた命を繋ぐために、多くの命が今を生きているのです。私たちに命を授けてくれたご先祖さまに感謝し祈りを捧げることは、それはそのまま命への感謝ともなるのではないでしょうか。新聞には毎日のように命を軽んじた事件が多く報道されています。お盆は、自分の命、そして他人の命について考えるよい機会です。お盆のお参りを通して、あらためて命の奥深さを感じていただけたらと思います。

そんな堅苦しいことばかりがお盆ではありません。ご先祖さまを迎え、家族や仲間と共に楽しい時を過ごすのもお盆の醍醐味です。その代表的な場が盆踊りでしょう。ご先祖さまの御霊を迎えて皆で楽しく踊る。過去と現在の命の解け合った場でともに賑やかにお迎えする。そして何より、私たち自身が大いに楽しむ。そうした「夏祭り」として、盆踊りがあるのです。

善光寺では今年より盆踊りを復活いたします。ご本堂の前に大櫓を建て、楽しく賑やかに踊り、皆さんと一緒になって共に作っていく善光寺の「夏祭り」です。老いも若きも手を取り合って、ご本堂前で踊っていただけるまたとない機会です。ぜひご家族・お友達とお誘いあわせてお越し下さい。