善光寺法話

第33回 お釈迦様と花まつりについて

みなさん、仏様は何体おられるかご存知ですか?
一説において、答えは三千と言われています。過去に千仏、現在に千仏、未来に千仏おり、お釈迦様はその内の一体とされています。ただし、歴史上に記録が残る人物の中で仏になったのはお釈迦様ただ一人。
そのお釈迦様は、紀元前5〜6世紀前後に現在のインド北方に相当するコーサラ国で生まれました。

お釈迦様の誕生日は旧暦の4月8日と言われ、その前後になると全国の寺院において誕生祝いの法要である「花まつり」が開催されますが、善光寺でも長野市仏教会と共に、毎年5月5日に境内で花まつりを開催します。日本では推古天皇時代の606年に始まったとされ、「灌仏会」など様々な名前を持つ行事でしたが、第二次大戦後の明治時代にちょうど桜の季節ということもあって「花まつり」という呼び名が提唱され広まりました。花まつり当日は色とりどりの花で飾った花御堂を作り、お釈迦さまが生まれた時の姿である「誕生仏」が御安置され、甘茶を柄杓で頭にかけて生誕を祝います。

花まつりでご安置される誕生仏の基になったお釈迦様の生誕に関わるエピソードで有名なのが、生まれて直ぐに7歩歩き、右手で天、左手で地を指し、「天上天下唯我独尊」と言われたものです。
この言葉はよく「この世で私が一番偉い」と誤用されがちですが、唯我独尊とは「ただ我独りとして尊し」と訳されます。

相対的に人と人とを比べ判断するのではなく、ただその人その事象をありのままにみる尊さ、また一人一人の素晴らしさを見出す事こそ最高の慈悲であると仏教の教えで説かれておりますが、お釈迦様が生まれてすぐ発したこの言葉はまさにこの仏教の差別無き教えを体現された言葉と言えましょう。

また、花まつりの特色の一つとして稚児行列があります。善光寺の花まつりにも毎年多くのお申込みがありますが、ひとえに誰かと比べてではなく、天上天下にただ一人尊い我が子我が孫の健全育成を願うお気持ちから来るものではないでしょうか。

ゴールデンウィークの晴れた日にお子様お孫様をお連れしてのご参拝としては格好の好日となっております。またそれ以外の方々も、大型連休の旅の好日でございます。差別無き仏の想いを心の片隅でかまいません。抱いて頂き世の平和を願ってお参り頂けましたら幸いでございます。
その際はどうぞ道中お気をつけて御参拝下さい。

合掌
(甚妙院 崇仁)