善光寺法話

第13回 御開帳の賑わい

七年に一度の盛儀「前立本尊御開帳」は平成21年5月31日、別れを惜しむかのような小雨の中、結願を迎えました。

千有余年続く善光寺参りは、日に30~40キロを歩き善光寺を目指したものですが、時代の変化と共にマイカー、バス、新幹線など様々な交通機関が発達し容易に参拝が可能となりました。
しかし、訪れる参拝者の心はかつてと変わらず一心に御先祖様の供養や自身の極楽往生などにむけられ、時には涙を流しながらお参りする姿も見受けられます。

古来より当寺は「仏様と縁を結び極楽行きのお約束を頂くお寺」といわれており、57日間に及んだ本開帳中には国内外、老若男女を問わず673万余人の善男善女が当寺を訪れ仏様とご縁を結ばれました。

しかし、私達は善光寺に訪れて初めて仏様と縁が結ばれたのではなく、もともと仏様と結ばれている存在なのです 。

『涅槃経』というお経には「一切衆生悉有仏性」という言葉があります。
これは「この世の全ての存在には仏となる素質が秘められている」ということであり、「私達は生まれながらにして仏様と結ばれている」ということでありましょう。

しかし、迷いの中にいる私達はそれに気付くことが難しく、たとえこの事を聞いても信じることが難しく、何か証となるものを求めてしまいます。

御開帳期間中に「前立御本尊の御参拝」や「回向柱・極楽の錠前に触れる」「御印文を頂戴する」など視覚・触覚などを通じて直に仏様とのご縁を感じるというのは私達の不安から生まれたものでしょう。
通常時の善光寺にも「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」など五感から仏様を感じていただける物が沢山ございます。お越しになられます際には「観る」だけではなく体全体で仏様を感じて頂き、仏様とのご縁を再確認して頂ければ幸いです。

梅雨から真夏へと体調を崩しやすい時節でございます。お体を御慈愛頂きお過ごし下さい。

合掌
(小林玄超)