善光寺法話

このコーナーでは、法話や善光寺にまつわる説話などを紹介してまいります。

【最新】第35回 感謝

私たちは毎日仕事や家庭や雑事に追われ、目に見える表面しか見えにくい世の中で過ごしています。そのためつい自分本位の考えになってしまいがちですが、決して自分一人で生きている人はおりません。今ある私たちの身体、心、は父、母からいただいたものです。その両親も必ず父と母がおり、ご先祖さまから脈々と受け継がれています。

“咲いた花見て 喜ぶなら 咲かせた根元の恩を知れ”

作者不明のこんな詩があります。この詩にある「咲いた花」とは私たちのことであり、次へと継がれる新しい命をさしています。そうすると「咲かせた根元」とはご先祖さまのことを表しています。綺麗な花を咲かせている木の根元は、土の中に隠れているので表面からは見えませんが、大地に根を張り巡らせしっかりと木全体を支えています。根がなければ花だけではなく幹も枝も葉もできることはありません。姿は見えませんがご先祖さまへの感謝の気持ちを常に心の芯に留めていただきたいと思います。
また、見えるものに感謝をするのは簡単ですが、見えないものに感謝をするということは容易ではありません。なぜなら先ほど申しあげたように、私たちの日々の目まぐるしい生活が見えないものへの感謝を妨げてしまっているのです。仕事や学校で嫌なことがあったり、家族や友人と喧嘩をしてしまうと、心の余裕がなくなりもやもやした気持ちで心がいっぱいになっていまいますよね。人間がストレスを感じるときはほぼ対人関係だと聞きますが、身近な人々、直接的に見えない人々、世界中の様々な人々から生かされているのも確かです。辛いことや苦しいことの反面、思いやりや気遣い、温かい言葉は私たちの周りのいたるところで交わされています。それを気付かず過ごすか、当たり前のことと感じるか、有難いと感じるかで私たちの生活は大きく変わります。辛いときこそ、有難いと感じることで、生かされている存在であるのだと実感することができます。日々感謝をする心を養って過ごしていただければきっと辛いことがあっても乗り越えられる心の豊かさを培えるのだと思います。皆様が明るく、正しく、仲良く、日々の生活を送れますよう祈念しております。

合掌

淵之坊 若麻績憲義