善光寺法話

このコーナーでは、法話や善光寺にまつわる説話などを紹介してまいります。

【最新】第28回 お地蔵さま

P1040007 仏教ではお釈迦さまが亡くなった後、56億7000万年後に弥勒菩薩という次のお釈迦さまがこの世に現れて我々を救ってくださるといわれております。そのお釈迦さまのいない間、この世で苦しみ迷える私達を助けて下さるのが地蔵菩薩です。地蔵菩薩の多くが、出家僧のお姿であることは、常に私達の身近にあって、救いの手を差しのべる親しみやすさを現しているといえます。そのお姿は、お寺はもちろんのこと、街の中にも、田舎の片隅や山中など様々な場所に祀られており、日本で最も親しまれている仏さまの一つといえます。ですから地蔵菩薩のことを私達は親しみを込めて「お地蔵さま」とか「お地蔵さん」とよんでおります。

 お地蔵さまは、大地が全ての命を生み出し、育む力を蔵するように、広大無辺な慈悲の心で苦悩する人々を包み込み救うということからその名前がつきました。そして衆生救済のためにお地蔵さまはいくつもの誓い(本願)を立てられました。それらを集約すると「抜苦与楽」「極楽往生」「現世利益」に分けられます。これがお地蔵さまの功徳でありご利益です。このように広く信仰を集め、大きな功徳を持つお地蔵さまは、善光寺にも祀られており、代表的なものとして、六体の仏からなる六地蔵があります。山門に向かって右側に大きくて立派な六地蔵さまが祀られています。六地蔵さまとは一体どんな仏なのでしょうか。人間は生きている間に行う善悪の行為によって死後、六つの世界に生まれ変わると考えられております。

 その六つとは以下の通りです。
天  -神々が住む世界。楽しみに満ち、寿命は極めて長い。
しかし、いずれは自らに死がおとずれ、恵まれた世界から立ち去らねばならない悲しみや恐怖がある。
人  -我々人間が住む世界。その生は苦しみに満ちているが、悟りを得れば救われるといわれる。
修羅 -戦いや争いが絶えることがない世界。
畜生 -牛や馬などの畜生の世界。自由が無いとされる。
餓鬼 -常に飢えと渇きに苦しむ世界。その欲望は満たされない。
地獄 -六つの世界で最も過酷な世界であり、苦痛が絶えず続く。

 以上の六つは我々人間が死後に進む道なので「六道」ともいわれ、この六つの世界を終ることなく、車輪のように回ることから「六道輪廻」とよばれます。この六つの世界で悩み苦しむ人々に救いの手を差し伸べるのが六地蔵です。例えば善光寺の六地蔵で地獄を担当するお地蔵さまはよく見ると足をくずして片足が前に出ています。これは地獄にいる人々があまりにもかわいそうなので少しでも早く助けに行こうとしている気持のあらわれだといわれております。

 また、最も恐ろしい地獄には閻魔大王がいます。閻魔さまは嘘をつく人達を容赦なく怒ります。皆さん、子供の時に「嘘をつくと閻魔さまに舌を抜かれるから人を騙してはいけないよ」と親から言われたことはないでしょうか。閻魔さまは恐ろしい反面、子供たちを見守り正しい道に導こうとする存在でもあるのです。そんな閻魔大王の化身が地蔵菩薩と考えられています。ですから地蔵菩薩は昔から子供を守護し救済する「子供の守り神」としてあつい信仰を集めているのです。

「オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ」は、類まれなる尊いお方というお地蔵さまを讃嘆するお地蔵さまの真言です。お地蔵さまは今でも時代を超えて、私達をあたたかく見守り救いの手を差し伸べてくれています。最近では都市化の流れの中に埋没し、そのお姿をつい見逃しがちですが、どこかでお地蔵さまと出会った時は、この真言を唱えて合掌して下さい。私達の拝む心にきっとお地蔵さまの大きな功徳とご利益が差し向けられるでしょう。

合掌
(円乗院)