善光寺法話

このコーナーでは、法話や善光寺にまつわる説話などを紹介してまいります。

【最新】第36回 仁王門について

仁王像吽形

仁王像阿形現在善光寺に立っている仁王門は、大正7年(1918)に建立されてからちょうど100年の節目を迎えます。100年というと、意外に短いと思われるかもしれません。これには善光寺の歴史が関係しています。というのも、善光寺では本堂も含め数度焼失の憂き目にあっています。仁王門も例外ではなく、過去に二回焼失してしまったという歴史があるため、現在の仁王門が建立から100年となっているのです。

善光寺へ正面から参詣される方は仁王門を通る際、まず最初に仁王像を見ることになるかと思います。この時、仁王像が逞しい肉体を持ち、また厳めしい表情をしていることにすぐ気づくと思います。なぜこの様な姿をしているのでしょうか。それは、仁王が寺院の門から仏敵を追い払うという役目を担っているからです。

厳めしい表情は、忿怒相(ふんぬそう)と呼ばれます。仏教の世界を邪魔しにくる悪者に対して、この表情をもって威嚇することで仏教を守護しています。左右で表情が異なり、善光寺では向かって左側の口を大きく開けているのが阿形(あぎょう)、向かって右側の口を閉じているのが吽形(うんぎょう)です。この阿形、吽形という名前は、私たちが一番最初に発する音から最後に終わる音までと同じように、全ての物事から皆様を御守りしていることを表しています。

また、仁王が片手に握りしめている物にも悪者を追い払う力があります。それは「金剛杵(こんごうしょ)」という武器で、これを持つ姿から仁王は別名を「金剛力士(こんごうりきし)」とも呼ばれています。「金剛」はとても固い物質とされ、仏教ではその堅固な力を尊び、様々な用語に使われています。この強靭な武器を手にする姿も、仁王の強さを表現しています。

最後に、現在の仁王像が造られた時の話です。善光寺には日本忠霊殿に史料館があり、そこには仁王像の原型像が展示されています。実はこの原型像は仁王像の制作過程に大きく関わっています。作者は高村光雲と、米原雲海という彫刻家の二人による合作です。二人は像を造立する際、まず原型を作ったのです(https:/www.zenkoji.jp/ shiryokan)。この原型こそが忠霊殿史料館に展示されている仁王像の原型像なのです。

是非善光寺に来た際には、見に行って頂きたいと思います。